天然娘とツッコミ母の島暮らし

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<<   作成日時 : 2013/04/13 15:47   >>

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「錦」 宮尾登美子 ★★★★★

織物業界の雄、菱村吉三の激動の生涯。
モデルは龍村美術織物、初代社長龍村平蔵。
織物に命をかけた人。
彼の作る織物は、修飾語でなく、本当に彼の命が織り込まれ、彼の血で鮮やかに染められていた。
商売人としても一流だから、褒められたことばかりでもない。
男としての生々しさと商売人としての一徹さが主人公の魅力だ。
やがて菱村は帯を織って売るだけでなく、古布の復元という今の世では国家事業に相当する難題に挑む事になった。
古布復元は商売を圧迫し、何度も何度も経営危機に陥った。
それでも復元は断念しない。
今の世なら復元センターを設立し、プロジェクトを立ち上げ情報を集め、コンピュータを駆使して行う事業だ。
それを菱村は自分の店の奥に作った、小さな研究室で黙々と作業した。
菱村吉三は錦にとり憑かれた人間なのだ。
正倉院の古布たちは類まれな才能を持ち、宿命を背負った菱村が正倉を開く日を千年待ち続けた。
自分も正倉院にとり憑かれた一人だから、その経緯はよくわかる。
やらずにいられないのだ。
正倉院を覗いた者は生涯を御物に捧げずにはいられない。
たとえ家族や社員を苦境に陥らせても。
そんな抗えない魔力が正倉院には収蔵されている。
舶来品にかける日本人の執念、仏教の衰退を嘆いた西域人の怨念が詰まっていると言ってもいい。

小学生時代の国語の教科書に、法隆寺の古布復元の物語が載っていた。
その頃の自分は10年後に自分が正倉院の卒論を書くとは夢にも思わず、龍村織物の帯に憧れる和服好きになるなんて想像もしていなかった。
でもなぜかその復元ドキュメントの文章は今でも忘れらず、復元された裂の図案もはっきりと思い出せる。
まだ芽吹かない歴史心が沸き立つようなエキサイティングな文章だった。
その他に記憶に残っている教科書の文章なんていくつもない。
今にして思えば龍村平蔵の偉業が自分の人生に何かの指針を与えてくれた事は間違いない。

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